ホーム/MEDIA/決算説明資料の作り方
IR・決算説明資料

決算説明資料は、どこから改善すればいい?
構成・数字・デザインの基本

公開日:2026年9月13日 / IR・決算説明資料
決算説明資料IR資料IRデザインPowerPointKPIグラフ資料改善

決算説明資料は、数字を掲載し、見た目を整えれば完成するものではありません。同じ業績やKPIでも、どの情報を先に見せるか、何と比較するか、どの数字を強調するかによって、資料の伝わり方は大きく変わります。

一方で、すべてのページを毎回作り直す必要もありません。

現在の資料の良い部分を活かしながら、改善すべき箇所に優先順位をつけ、その決算で必要な改善を積み重ねることが大切です。

この記事では、決算説明資料を改善するときに確認したいポイントを、構成・数字・グラフ・デザインの順に整理します。

1|まず、「その決算で何を伝えたいか」を決める

決算説明資料を改善するとき、最初からデザインを考える必要はありません。

まず確認したいのは、「今回の決算で、投資家に何を理解してほしいのか」です。

売上が伸びた。
利益率が改善した。
新規顧客が増えた。
価格改定が進んだ。
新しい成長投資を始めた。

決算には多くの情報がありますが、すべてを同じ強さで見せると、かえって重要な変化が伝わりにくくなります。

各ページについて、

  • このページの主題は何か
  • 今回、何が変化したのか
  • その根拠となる数字は何か

を整理すると、資料全体の読みやすさが大きく変わります。

タイトルと結論を分ける

例えば、

タイトル:クラウド事業 KPIの推移

だけでは、「何のページか」は分かりますが、「今回何が重要なのか」までは分かりません。

そこで、

契約企業数とARRが増加。チャーンレートは低水準を維持

のような結論を加えると、グラフを見る前にページの意味を理解できます。

2|構成は「情報量」ではなく「理解する順番」で考える

情報が多いこと自体が問題なのではありません。

問題になるのは、どこから読めばいいのか分からないことです。

例えば1ページの中に、

  • KPI
  • 前年比較
  • 施策
  • 今後の予定
  • 注釈
  • 補足説明

がすべて同じ強さで配置されていると、読み手は自分で重要度を判断しなければなりません。

改善するときは、

結論 → 重要数字 → 推移 → 詳細

というように、情報の役割を整理します。

ページ数を増やすことが正解とも限りません。

一覧性を優先した方が良いページもあれば、一つの重要KPIに十分な表示領域を与えた方が理解しやすいページもあります。

3|KPIは「最新値・変化・推移」の順に整理する

決算資料では、多くの数値を掲載する必要があります。

しかし、すべての数字を同じ大きさで表示すると、かえって重要な数字が埋もれてしまいます。

基本的には、

① 最新値

現在どの水準なのか。

② 変化

前年同期や前四半期と比べてどう変わったのか。

③ 推移

中長期的にどの方向へ動いているのか。

の順で考えると整理しやすくなります。

例えばHubSpotのInvestor Presentationでは、顧客数について長期推移を見せながら、起点と現在値、CAGRを大きく表示しています。

細かな数字をすべて並べるのではなく、「どれだけ成長したのか」を短時間で理解できる構成です。

数字を減らすことが目的ではありません。

数字の役割を分けることが重要です。

4|グラフは「何を比較したいか」から選ぶ

グラフを見栄えだけで選ぶと、伝えたい内容と表現がずれてしまいます。

例えば、

伝えたいこと適したグラフ
推移を伝えたい折れ線グラフ
年度ごとの大きさを比較したい棒グラフ
構成比を見せたい積み上げ棒グラフなど

というように、まず比較目的を決めます。

さらに決算説明資料では、

  • 当期
  • 過年度
  • 予想
  • 目標

を明確に区別することも重要です。

色や線種を資料全体で統一すると、ページが変わっても読み方を迷いにくくなります。

5|「1ページ集約型」と「指標別ページ型」を使い分ける

KPIの見せ方には、一つの正解があるわけではありません。

例えばSansanの決算説明資料では、複数の数字や中期財務方針を一つのページで整理し、一覧性を持たせた表現が使われています。

一方、米国企業のInvestor Presentationでは、一つのKPIに一ページを使い、数字を大きく見せる構成も多く見られます。

Snowflakeも、主要KPIを指標ごとに分けて提示する構成が参考になります。

どちらが優れているという話ではありません。

そのページで何を理解してほしいかによって使い分けることが大切です。

例えば、

  • 通常四半期はKPIを一覧で掲載
  • 大きな変化があったKPIだけ詳細ページを追加

という方法も考えられます。

6|デザインは「きれいにする」より「ルールを揃える」

決算説明資料のデザインで重要なのは、装飾を増やすことではありません。

むしろ、

  • タイトル
  • 本文
  • 注釈
  • 数字
  • グラフ
  • カード
  • 図解
  • アイコン

のルールを揃えることが重要です。

例えば同じ資料内で、

あるページでは当期が青、
別のページでは当期がオレンジ、
また別のページでは実績と予想が同じ色、

となっていると、ページごとに読み方を覚え直さなければなりません。

資料全体で同じ意味に同じ表現を使うことで、理解に必要な負担を減らせます。

7|全部のページを一度に直す必要はない

決算説明資料を改善するとき、「一度すべてリニューアルしなければならない」と考える必要はありません。

むしろ、現在の資料を確認すると、

  • そのまま使えるページ
  • 少し整えれば良いページ
  • 構造から見直した方が良いページ

が混在していることがほとんどです。

そこで、

KEEP現在の良さを維持
IMPROVE現在の構成を活かして改善
REDESIGNページ構造から再設計

のように分類すると、改善の優先順位を決めやすくなります。

重要なのは、全ページを同時に直すことではなく、改善効果の高いページから着手することです。

8|国内外のIR資料を比較すると、改善の根拠が見つかる

資料改善で難しいのは、「なぜ、この表現に変えるのか」という根拠です。

デザイナーや制作会社の好みだけで変更してしまうと、担当者側も社内で説明しづらくなります。

そこで役立つのが、国内外のIR事例との比較です。

例えば、

  • 同じ業種ではKPIをどう開示しているか
  • 国内企業はどの程度の情報量を一ページに載せているか
  • 米国企業は数字をどの程度絞っているか
  • 長期推移をどのように見せているか

などを比較します。

海外事例をそのまま真似する必要はありません。

自社に合う考え方だけを取り入れることがポイントです。

9|決算ごとに改善を積み重ねる

決算説明資料は、一度完成したら終わりではありません。

次の四半期には数字が増え、事業環境が変わり、説明すべきテーマも変わります。

そこで重要になるのが、一度改善した内容を、次の決算でも使えるルールとして残すことです。

例えば、

  • グラフの色
  • KPIの表示方法
  • タイトルとリードの役割
  • 図解の表現
  • 注釈の書き方
  • 更新しやすいPowerPointの構造

をルール化します。

すると次回は、同じ問題をもう一度考える必要がありません。

基本品質が安定するほど、「今回の決算で何を伝えるか」という、より重要な検討に時間を使えるようになります。

まとめ|決算説明資料の改善は「どこを直すべきか」を知ることから

決算説明資料には、デザインだけでは解決できない課題があります。

構成、メッセージ、KPI、数字の比較方法、グラフ、デザイン。

それぞれを個別に見るのではなく、資料全体の中で優先順位をつけることが大切です。

HIGHVOLUME「IRデザイン室」では、現在の決算説明資料を確認し、良い部分を活かしながら、

どこに課題があるのか
なぜ改善する必要があるのか
何から取り組むべきか

を整理する「IR資料 改善診断」を行っています。

いきなり全面リニューアルする必要はありません。

現在の資料を起点に、必要な改善から始めることができます。

決算説明資料の制作をご検討中の方へ

御社専任の「IRデザイン室」として、IR資料全般を継続支援します。

IRデザイン室を見る →